ご報告

前回の投稿から2年近い月日が経ってしまいました。実は、前回の投稿の直後に行なわれた衆議院の解散・総選挙で、大学時代の弓道サークルの後輩の選挙を手伝い、比例復活当選後、請われて、その衆議院議員の政策担当秘書を務めていたのです。しかしながら、残念なことに、その議員があまりにも不真面目で、政策に全く関心がなく、政局ばかりに首を突っ込みたがることと、国会議員という仕事を「楽して金儲けできる仕事」としてしか見ていないこと、公設秘書を事実上「ピンハネ」の対象としか考えていないこと、などから、今年4月下旬に辞表を叩きつけて退職しました。その後、真山勇一参議院議員の選挙を地元事務所長として手伝い、比例代表区から神奈川県選挙区への選挙区替えで「絶対当選は無理」と言われたのを、「奇跡の大逆転」で当選させました。今般、選挙運動費用収支報告等の残務処理がほぼ終了したことから真山事務所を退職し、以前同様、行政書士専業に戻りましたことをご報告致します。また、この間に、「行政書士が作成した官公署に提出する書類に係る許認可等に関する行政不服申立てに係る手続の代理」を行なえる「特定行政書士」の資格を取得しました。今後は、政治活動や選挙運動に関連する諸手続きに精通した行政書士としての顧問業務の中で、選挙や政策のサポートも続けて参りたいと思いますので、多くの皆様のご利用をお待ち致しております。

政治家の皆様に対する行政書士顧問契約(内容により月額1〜10万円程度)には、ご要望があれば政治活動、議員活動、又は選挙運動に関する相談サービスを特約として付与致します。3期12年にわたる自治体議員経験(副議長、総務常任委員長、文教常任委員長等を歴任)、国会議員政策担当秘書(議員会館勤務)の経験、70回にも及ぶ選挙に関わってきたプロの選挙コンサルタントとしての経験、そして自治体学会(日本学術会議協力学術研究団体)の運営に長年携わってきた自治体政策のプロとしての経験を活かし、責任ある隣接法律専門職として、政治家の皆様の活動を支えます。

松島みどり氏、小渕優子氏の問題について(その2)

 少し間が開きましたが、前回に引き続き、「政治と金」の話を続けます。

2.小渕優子氏の「観劇会」事件について
 この事件は、小渕優子氏の後援会である「小渕優子後援会」と、「自由民主党群馬県ふるさと振興支部」とが共催した東京・明治座に於ける「観劇会」について、2009(平成21)年度から2011(平成23)年度までの3年間の「政治資金収支報告書」で、参加者から徴収した参加費収入と、明治座に支払った代金支出との間に大きな食い違いがあり、2012(平成24)年度には、「観劇会」は開催されたものの、どの政治団体の収支報告書にも、その収入と支出とが一切記載されていなかったというものです。その後の報道では、2008(平成20)年度には小渕優子氏が代表を務める自由民主党小選挙区支部の「自由民主党群馬県第五選挙区支部」と、小渕優子氏の資金管理団体である「未来産業研究会」から、2009(平成21)年度には「未来産業研究会」から、それぞれ支出があったとされ、この差額の合計金額である約5,500万円分が、有権者に対する「利益供与」にあたるのではないか、という疑惑が持たれています。
 さて、まず整理しなければならないのは、小渕優子氏を巡る政治団体についてです。特定の衆議院議員(小選挙区選出)に関係する政治団体は、一般的には、資金管理団体である政治団体、後援会である政治団体、所属する政党の小選挙区支部の3つが存在するケースが多いと思われます。このうちの資金管理団体とは、当該政治家本人を代表者とする政治団体の一つを指定するものであり、政治家本人の政治活動に関する政治資金を取り扱わせる団体を指します。何人であっても、政治団体に対して寄附をする場合は、一つの政治団体に対しては年間150万円以内に制限されています。そのため、政治家が自己の後援団体に自己資金を入金する場合でも、年間150万円以内という制限が適用されます。また、政治家は、選挙前の一定期間(当該公職の任期満了の日の6か月前以降、又は衆議院解散の日の翌日以降、投票日までの間)、自己の後援団体に自己資金を入金することは禁止されています。しかし、これは、実情として非常に不便であるため、資金管理団体の指定をした政治団体についてのみ、これらの制限が外されるのです(ただし、個人が政治団体に対して1年間にすることができる寄附の総額は、政党への寄附を除き、政治家であっても1,000万円以内とされています。)。
 また、現在は、企業や労働組合等の団体からの寄附は、政党に対するものを除いて、認められていません。そのため、企業や団体からの寄附の受け皿として、政党の支部が利用されます。小選挙区から立候補する衆議院議員の候補者の場合は、その小選挙区の区域を単位とする支部を作ることが一般的です。どのような単位で支部を設立するかは、政党によって考え方が異なる模様です。因みに、私がかつて所属していた民主党では、党公認の国会議員(現職)及びその立候補予定者の選挙区と、党公認の都道府県議会議員(現職)の存在する区市町村にのみ、正式な支部の設立を認めていました。それに対して、自由民主党などは、もう少し弾力的な対応をしているようです。小渕優子氏の場合は、資金管理団体が「未来産業研究会」、後援会が「小渕優子後援会」、政党の小選挙区支部が「自由民主党群馬県第五選挙区支部」となっています。そして、それとは別に、小渕優子氏に関連する政党支部として「自由民主党群馬県ふるさと振興支部」が存在し、これら4つの政治団体が連携して小渕優子氏の政治活動を支えています。
 さて、今回は、これら4つの政治団体が、地元の支援者を対象とし明治座を借り切って開催した観劇会に関して、参加者から徴収した参加費として計上した収入の総額を、実際に明治座に支払った代金として計上した支出の総額が、合計で約5,500万円も上回った、とされています。もしそれが事実であるならば、参加者が本来支払うべき代金よりも少ない金額で観劇したということになり、その差額が、小渕優子陣営から有権者への「利益供与」に当たる恐れがあります。「事情通」と呼ばれる人の間からは、観劇会を企画したものの思うように参加者が集まらず、世襲三代目の小渕優子に恥をかかせないために、事務所が金を出して、各種業界に動員をかけただけ、とか、明治座の貸切条件を参加希望者だけでは充たせなかったため、差額を事務所で穴埋めしたのだ、といった解説がなされたりもしていますが、それにしても、実際の参加者である有権者が、明治座を貸切状態で観劇するということに要した費用の全額を負担していないのであれば、やはり「利益供与」を受けたと言わざるを得ません。
 さらに、この「観劇会」だけでなく、野球の観戦チケット代とか、贈答用ワインの代金、選挙区内の有権者への名入りカレンダーの配布といった支出もあるということで、こうなれば、もはや逃げられないと思います。小渕優子氏の選挙区は、父小渕恵三氏の中選挙区時代は、福田赳夫氏、中曽根康弘氏と、自民党内の有力議員がそろって「上州戦争(福中戦争)」と呼ばれたわが国でも有数の超激戦区であり、選挙違反を誘発しやすい土地柄でもあります。そういったこともあって、有権者への「サービス」が過熱したのではないかと思います。そのことは、事件のきっかけとなった政治資金収支報告書の作成担当者が、父小渕恵三氏時代からのベテラン秘書だったということを見ても推測できます。今回のように、イベントの支出が、参加料収入を大幅に上回ることが、公職選挙法違反に問われる可能性が高いことは、政治に関わっている人間にとっては、「イロハのイ」であり、気づかないはずがありません。しかも、正直な話、現在の政治資金規正法は全くのザル法ですから、現金で支払った参加者が多かったことにして、収入を水増ししてしまえば、収支報告書上問題になることは絶対にないのです(もちろん、犯罪行為ではありますよ。)。ですから、少しでも問題意識があれば、完全に隠すことができた事件なのです。それにもかかわらず、ある意味「馬鹿正直」に収支報告書を作ってしまったということは、いかに、小渕優子事務所のスタッフが選挙違反に慣れきってしまっていたか、ということを雄弁に物語っているのです。
 一部には、小渕優子氏が、原発の老朽炉の廃止判断を電力会社に求めたので、「原子力ムラ」によって排除された、などという人もいるようですが、それとこれとは、全く別の話だと思います。小渕優子氏は、「ゼロから出直す」と言っているようですが、この事件は、検察や裁判所がちゃんと仕事をすれば、間違いなく、議員失職と5年間の立候補禁止に該当する犯罪であり、本来であれば、小渕優子氏の政治生命の終わりとなるはずです。
 なお、この事件に関連して、国会議員関係政治団体の収支報告に係る監査のあり方が問題となっています。現在、国会議員関係政治団体が政治資金収支報告書を提出するにあたっては、政治資金適正化委員会が行なう政治資金監査に関する研修を修了し、登録政治資金監査人として登録された弁護士、公認会計士、又は税理士の監査を受けることが義務づけられています。しかしながら、この監査は、あくまでも、
1.会計帳簿、明細書、領収書等、領収書等を徴し難かつた支出の明細書等及び振込明細書が保存されていること。
2.会計帳簿には当該国会議員関係政治団体に係るその年における支出の状況が記載されており、かつ、当該国会議員関係政治団体の会計責任者が当該会計帳簿を備えていること。
3.政治資金収支報告書は、会計帳簿、明細書、領収書等、領収書等を徴し難かつた支出の明細書等及び振込明細書に基づいて支出の状況が表示されていること。
4.領収書等を徴し難かつた支出の明細書等は、会計帳簿に基づいて記載されていること。
についてだけ行なわれ、所定の研修もわずか3時間という短いものであるため、政治資金の取扱いが、公職選挙法や政治資金規正法に照らして適正であったかどうかまでをチェックするものではありません。特に、公認会計士さんや税理士さんについては、通常取り扱われている企業会計とは、そもそも会計の構造が違うということもあって、却って戸惑われることも多いようです。やはり、このあたりについても、実際に政治の現場に精通した者、例えば我々のように、政治団体や選挙の実務に精通した行政書士が、内容までチェックするような監査にする必要があるのではないかと思います。

松島みどり氏、小渕優子氏の問題について(その1)

「政治とカネ」の問題で、松島みどり氏と小渕優子氏が、閣僚を辞任しました。この事件については、巷間、非難する人、擁護する人、はたまた、松島みどり氏を国会で追及した民主党の蓮舫氏を非難する人、様々な意見が飛び交っており、かなり情報が混乱しているようです。私は、「行政書士資格を持つ選挙コンサルタント」として、各級選挙の支援や、政治資金収支報告書の作成・提出にプロとして関わっています。その立場から、今回の一連の事件について、いったい何が問題なのかを、整理して解説しておきたいと思います。
 
1.松島みどり前法務大臣の「うちわ」事件について
 この事件は、松島みどり氏が、選挙区内で開催された地域の夏祭り会場で、不特定多数の参加者に対して、自分の似顔絵や氏名を大書し「討議資料」と表示した「うちわ」を配布した行為が、公職選挙法第199条の2第1項で禁じられている「選挙区内にある者に対する寄附」に当たるのではないか、というものであり、10月7日の参院予算委員会で、民主党の蓮舫氏が指摘しました。
 この指摘に対し、松島みどり氏は、「うちわのような形をしているが、『討議資料』として配ったものであり問題はない。」という趣旨の反論をしました。
 その後、ネット上などで、蓮舫氏が自らの選挙運動期間中に「選挙運動用ビラ(法定ビラ・証紙ビラ)」として配布したやや厚い紙に指を入れる穴を開けて「うちわ」としても使える形状をした印刷物をとりあげ、「自分だって同じことをやっているではないか。」とか「民主党お得意のブーメランだ。」と、追及した蓮舫氏の側を非難する声が挙がり、「みんながやっているのに、松島みどり氏はかわいそうだ。」とか、「安価なうちわを配ったぐらいのことを追及している暇があれば、政策論争をしろ。」、「この程度の軽微な違反をいちいち検察に刑事告発すると、民主党自身を攻撃するのにその手が使われる。」といった論評まで出てきました。

 この話は、いくつかの論点と誤解が入り混じって混乱しています。まず、最初の論点は、
‐湘腓澆匹蟷瓩痢屬Δ舛錙彷柯曚牢麌蹐謀たるか
という点です。
 松島みどり氏が配布した「うちわ」は、丸い厚紙に柄が取り付けられたものであり、一目瞭然、正真正銘の「うちわ」です。当然、その作成には費用がかかっていますし(政治資金収支報告書によれば単価80円だそうです)、デザインはともかくとして、通常は有償で販売されているものですから、「有価物」であることも間違いないでしょう。企業が「販促グッズ」として無料で配布することも多いですが、偶然そういったものを貰えなかった人が、「うちわ」を使いたいと思ったら、お店で買うわけですから、「当たり前にタダで貰えるもの」ではありません。そう考えると、公職選挙法第199条の2第1項で禁止される「選挙区内にある者に対する寄附」であることは間違いないと思われます。ただし、この条項が適用されて罰せられるためには、「通常一般の社交の程度を超え(公職選挙法第249条の2第3項)」ることが必要とされています。この条件は、寄附をした相手方との(従来の)交際の状況等に照らして判断されるものとされるため(最高裁判例)、裁判所の判断が必要となってきます。しかしながら、今回は、日常的に交際していない「不特定多数」に配布したわけですから、ハードルは極めて低いと考えられます。
 なお、ここで言われている「選挙区内にある者に対する寄附」というのは、わかりやすく言うと、金品を使った「単純買収」です。「買収」というのは、文字通り、「お金や品物で票を買う行為」であり、選挙運動の中でも最も「古典的」な違反であって、最近はほとんど見られなくなって来ています。

 そこで、出て来る次の論点は、
⊂湘腓澆匹蟷瓩主張するように「討議資料」だったら配布できるか
という点です。
 政治の世界において「討議資料」と言う場合、それは、後援組織の内部的な政策討議のための資料を意味し、表紙に「討議資料」とか「部内資料」といった表示がなされているのが一般的です。俗に「リーフレット」と称されるものです。通常、選挙運動期間中に配布することが認められたごく一部の文書を除き、選挙に立候補しようとする者(政治家)の名前を大書し、大きな顔写真や似顔絵、プロフィール、政策等を掲載した文書を、選挙運動期間外に不特定多数の有権者に対して配布する行為は、公職選挙法第239条第1項第1号で禁止される「事前運動」に該当する文書図画違反だとされています。しかしながら、そもそもその政治家を支援する後援組織に入っている会員が政策内容を討議するために用いる「内部的な資料」である限りにおいては、この種の文書は違反としては扱われていません。また、後援組織への入会を前向きに考えている有権者が政策やプロフィールを検討する材料として用いることについても、事実上黙認されています。つまり、「討議資料」とは、あくまでも後援組織の部内資料としてのみ存在が認められている(黙認されている)存在であるため、それを不特定多数に配布することはできないということなのです。
 よく、選挙に詳しいという人が、「討議資料」と表示しておけば何を配っても捕まらない、という説明をすることがあります。「選挙プランナー」や政治家本人でも、そのように言う人が大変多いようです。しかし、それは大きな間違いです。この種の文書図画違反については、「討議資料」という表示の有無で違法性が判断されるわけではなく、その文書全体を見て、実態として「事前運動」にあたるかどうか、「売名行為」にあたるかどうか、有権者の目にはどのように映るか、ということから、違法性の有無が判断されるのです。ですから、「討議資料」という表示には、法的な効力は何一つありません。ただ一つだけメリットがあるとすれば、後援会の会員以外にこの種の文書をわたしてしまい、それが警察に持ち込まれて、刑事から事情を聴かれた時に、「この文書は、『討議資料』という表示を見ていただければわかるように、後援会員以外にはわたしていません。もし後援会員以外の人が持っていたとすれば、元々持っていた後援会員が勝手に第三者にわたしたか、それとも、何者かが悪意で持ち出してばらまいたに違いありません。」といった言い訳をする「ネタ」になる、というだけのことです。簡単に言うと、文書に「討議資料」と表示することは、「この文書は不特定多数には配布しません」と宣言することを意味する、ということです。松島みどり氏は、「討議資料」が法的にどのような意味を持つのか、を全く理解していないものと思われます。
 なお、「討議資料」と「選挙区内にある者に対する寄附」との関係で言えば、かつて現在ほど印刷費が安くなる前は、厚い紙を使ってカラー印刷をするリーフレットの単価が1枚30円程度したことから「有価物」と見なされていて、リーフレット形状の「討議資料」を不特定多数に配布することは、「事前運動」である以前に「有価物」による「買収」だと判断されていました。その歴史的経緯から見ても、「討議資料」だから「うちわ」を配ってもよい、という松島みどり氏の理解が間違っていることは明らかだと思います。
 この,鉢△鬚読みいただくとわかるように、松島みどり氏の行為は、どう言い訳しても、公職選挙法に抵触する行為であると言わざるを得ないのです。

 今回の事件の構造は、実はこれだけであり、非常に単純なものです。ところが、公職選挙法の知識のない人たちが、聞きかじりの中途半端な知識を振り回したことによって、世間の論調が混乱しています。それが、国会で追及した民主党の蓮舫氏も「うちわ」を配っていたではないか、というものです。これについても、論点がいくつか存在します。まずは、
O∞峪瓩配布していたものは、どのような位置づけの文書か
という点です。
 この文書に印刷されていた内容は、松島みどり氏の「うちわ」に印刷されていたものと、大差ありません。それでは、松島みどり氏と同様に、少なくとも「事前運動」にあたる「文書図画違反」ではないか、と思われるかもしれません。しかしながら、蓮舫氏の文書には、「証紙」が貼付されていました。この「証紙」は、衆参両院の議員選挙と、都道府県知事や区市町村長の選挙で配布が認められている「選挙運動用ビラ」に貼付されるものです。つまり、蓮舫氏の文書は、選挙運動期間中に配布された「選挙運動用ビラ」であることがわかりますから、松島みどり氏の「うちわ」とは異なり、「事前運動」には当たりません。
 この「選挙運動用ビラ」というのは、選挙が公示・告示され、立候補届が受理されてから、投票日前日の夜24時までの間に限って、公職選挙法第142条第1項において配布を認められているビラのことであり、ビラの規格や種類、枚数、配布方法について、次のような制限があります。また、いずれも、事前に選挙管理委員会に届け出て許可を受け、交付された「証紙」を1枚ずつ貼付する必要があります。「証紙」には、規定の枚数以内であることを示す意味があります。
  イ)ビラの規格:A4判以内の大きさで形状、紙質は自由。
          ただし、1枚ものに限り、冊子は不可。
  ロ)種類:2種類以内。
  ハ)枚数:選挙の種類、選挙区の大きさによって異なるが、
       いずれの場合も2種類を通した枚数。
        衆議院議員(小選挙区) :7万枚以内。
        参議院議員(比例代表区):25万枚以内。
        参議院議員(選挙区)  :選挙区の大きさにより10万枚以内〜30万枚以内。
        都道府県知事      :選挙区の大きさにより10万枚以内〜30万枚以内。
        政令指定都市の長    :7万枚以内。
        一般市の長       :1万6千枚以内。
        町村の長        :5千枚以内。
  ニ)配布方法:選挙事務所内での配布、個人演説会場内での配布、
         街頭演説の声の届く範囲での配布、新聞折込みに限る。
         街頭演説をしていない街頭での配布やポスティングはできない。
 このように、非常に限られた期間に、限られた方法で配布される、限られた種類のビラ、ということになり、政治家の配布する文書としては、極めて例外的な存在です。
 そうなると、次に出て来る論点は、
は∞峪瓩配布した文書は、「有価物」である「うちわ」ではないのか
という点です。
 確かに、蓮舫氏が配布した文書は、厚紙でできており、指を通す「穴」が開けられていて、「うちわ」として利用することが可能です。しかし、松島みどり氏が配布した「うちわ」のように、柄がつけられているわけではなく、単に「穴」が開けられた紙であるに過ぎず、上述の「選挙運動用ビラ」の規格に合致しています。もちろん、作成費用は松島みどり氏の「うちわ」と比べると遙かに安価であり、仮に1万枚作成すると作成単価は20円を下回ります。つまり、「有価物」とは認められないというわけです。なお、この種のビラについては、日本で最も有名な選挙プランナーである三浦博史さんが、総務省や各地の選挙管理委員会と協議を重ねた上で考案され、「実用新案登録」も受けられています。従って、選挙運動期間中の「選挙運動用ビラ」として所定の手続きを取った場合に限り、全くの合法文書であり、蓮舫氏に問題はありません。

 なお、上述のように、「みんながやっているのに、松島みどり氏はかわいそうだ。」とか、「安価なうちわを配ったぐらいのことを追及している暇があれば、政策論争をしろ。」、「この程度の軽微な違反をいちいち検察に刑事告発すると、民主党自身を攻撃するのにその手が使われる。」という批判をする人が多いようです。しかし、プロとしてはっきり言いますが、「みんながやっていること」ではありません。確かに、松島みどり氏以外でも、同様の「うちわ」を配っている政治家は実在するようです。しかし、公職選挙法の規定を理解していれば、この種の「うちわ」は違反になる可能性が高いということは、すぐにわかるわけであり、よほど法制度を理解していないか、理解していても「これぐらい大丈夫」と舐めている陣営以外は、こんな「うちわ」は配りません。つまり、「みんながやっている」のではなく、「ほとんど誰もやっていない」のです。また、刑事告発の前例を作ると政権側が民主党封じに利用する、という批判も当たっていません。なぜなら、非自民系の陣営の場合は、既に厳しく取り締まられており、自民系だけが「お目こぼし」されているからです。これは、私が、元々は社会民主連合という小さな政党公認で政治家人生をスタートさせ、その後、新党さきがけ、民主党と、一貫して非自民系の政党に属してきた中でかかわった選挙の経験と、その後、日野町長選挙に自民党推薦で立候補した際の経験とを比較しても、明らかです。なんせ、三鷹市議会議員選挙に社会民主連合公認で初めて立候補した時は、選挙事務所の正面に、毎日夕方になると白黒パトカーが横付けされ、警察官からずっと監視されていたのに対し、日野町長選挙の時は、辻立ちしていると、パトロール中の白黒パトカーの中から、警察官がにこやかに手を振ってきたものです。このエピソード一つとっても、取締当局が、現場でどのような対応をとっているかは、明らかだと思います。それを考えると、「刑事告発したら逆に不利になる」という考え方も間違いであるとわかるでしょう。
(その2に続く)
 
 

ご報告

私が、選挙や政策を支援する業務のために所属してきた株式会社オフィス資(代表取締役:塚本厚美、実質的経営者:湖南市議会議員 塚本茂樹)が、業績不振のため、前決算期末(本年9月末)を以て、営業を廃止致しました。それに伴い、私も整理解雇の対象となり、諸般の手続きが終わり次第、同社を退職することとなりましたので、ご報告致します。
2009年3月に同社の契約スタッフとなり、翌2010年1月には正社員として採用されて、通算5年7か月間にわたり、同社選挙・政策アドバイザーとして皆様にご贔屓いただきましたことに対し、深くお礼申し上げるものであります。
なお、今後は、政治活動や選挙運動に関連する諸手続きに精通した行政書士としての顧問業務の中で、選挙や政策のサポートも続けて参りたいと思いますので、多くの皆様のご利用をお待ち致しております。

政治家の皆様に対する行政書士顧問契約(内容により月額1〜10万円程度)には、ご要望があれば政治活動、議員活動、又は選挙運動に関する相談サービスを特約として付与致します。3期12年にわたる自治体議員経験(副議長、総務常任委員長、文教常任委員長等を歴任)、60回にも及ぶ選挙に関わってきたプロの選挙コンサルタントとしての経験、そして自治体学会(日本学術会議協力学術研究団体)の運営に長年携わってきた自治体政策のプロとしての経験を活かし、責任ある隣接法律専門職として、政治家の皆様の活動を支えます。


特定行政書士制度

 昨日(6月20日)の参議院本会議で、「行政書士法の一部を改正する法律案」が全会一致で可決されました。この法案は、衆議院では、6月13日の本会議で、全会一致で既に可決されていましたから、参議院の可決を以て成立となりました。
 今回の改正の内容は、日本行政書士会連合会がその会則で定めるところにより実施する研修の課程を修了した行政書士(特定行政書士)に限り、行政書士が作成した官公署に提出する書類に係る許認可等に関する審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立ての手続について代理し、及びその手続について官公署に提出する書類を作成することを業とすることができるというものです。要するに、許認可等に関する書類を作成したり提出したりするだけではなく、許認可等が認められなかった場合の異議申立て等の書類を作成したり、手続きを代理できるようになるということです。
 私は、三鷹市議会議員を務めていた頃、毎年、市長交際費の支出明細と、市が支出した食糧費の支出伝票の情報公開請求を行なっていました。当初は、個人名等については「プライバシー」を理由に、被覆(墨塗り)して公開されていたのですが、細川内閣の頃、同様のケースについて、一般市民であっても、公費の支出を受けるということは公務性があるはずであるから、被覆せずに公開すべきだ、という地裁判決が出たことがあります。そこで、私も、同様の組み立てをして、弁護士を使わずに、行政不服審査法に基づいて異議申立てをしました。当然、市側は行政事件に強い顧問弁護士に依頼して、反論してきましたが、こちらも、何度も反論書を書いて、半年間戦いました。その結果、三鷹市情報公開審査会では、個別の事情で公開すべきでないと判断された数ヶ所を除いて、全面公開を命じる決定を出しました。
 こういったケースは、まさに今回の法改正で行政書士が取り扱えるようになった内容です。つまり、市に対する情報公開請求書の作成や提出は、従来から行政書士の業務として取り扱えましたから、それが非公開決定を受けたり、一部公開決定を受けたりした場合の異議申立ても、今回から行政書士の業務として取り扱えるようになった、というわけです。行政の情報公開は、私のライフワークのひとつでもあります。現時点では、まだ法律が成立したばかりですから、具体的にどのような研修が行なわれるのかは発表されていませんが、研修が行なわれるようになった時には、ぜひ、万難を排して受講し、特定行政書士資格を取得したいと考えています。

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